年末年始のお休み
2018年12月26日院長の季節だより8 「平成最後の大晦日(おおみそか・おおつごもり)」
2018年12月31日本日(新暦)は、2018年12月28日 金曜日
旧暦の日付でいうと11月22日(友引)です。二十四節気は、冬至(とうじ)です。
26日より七十二候(しちじゅうにこう)は次候かわり、六十五候「麋角解 (さわしかのつのおつる)」大型の牡鹿の角が落ちる季節という意。実は日本の鹿は3月頃に角が落ちますので、季節に短文としては日本の風土に合いません。この候は、古代中国より伝えられたまま途中で修正されないままのものです。江戸時代に日本の気候風土に合うように何度か改訂をされているのですが、なぜ旧短文が残ったのか何らかの理由があると思います。
鹿はアジアだけではなくヨーロッパなど世界中で人と関わってきた動物だということです。3~2万5千年前のフランス洞窟の壁画にも鹿の絵があります。ではこの候の短文のように冬至のこの頃に角を落とす大鹿は、中国で麋鹿(ミールー・ビロク)といい日本名でシフゾウ(四不像)といいます。フシゾウは沼沢に生息しますので「さわしか」の語源になったのではないかとも考えられます。19世紀末、野生種は絶滅しましたが、九州では熊本市動植物園で見ることができます。昔から日本には麋鹿(びろく・さわしか)はいません。
日本の鹿は弥生時代に入り農耕文化の関係から「麒麟や鳳凰」などと同様に「霊獣」として扱われ銅鐸にも描かれています。また、国家の吉凶など鹿の肩甲骨を焼いて占いとして用いたことも古事記や日本書紀にあります。大和時代には神の使いとしての「神鹿」として位置づけられてきました。春日大社・鹿島神宮・厳島神社などでは神鹿が飼われています。
鹿が「霊獣・神鹿」のもとになったのは、「鹿の角が毎年生え変わる」ことが「再生の力」という特別な存在としてとらえていたのでしょう。六十五候は太陽の力が最小になり次の日より再生していく「冬至」の「次候」のこの時期に「霊獣」として「鹿の角の落ちる時期」を一緒にあわせることが重要だったのではないでしょうか。そのため、普通の「鹿」とせずに実際にこの時期に角を落とす「麋鹿」として後世に残したのではないかと思います。それだけ冬至の持つ意味は重要だったのでしょう。
Photo エゾシカ photoACより